作品情報 2025年日本映画 監督:草野翔吾 出演:神尾楓珠、桜田ひより、江口洋介 上映時間115分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:イオンシネマ座間 2025年劇場鑑賞52本
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【ストーリー】
大学4年生の堤丈流(神尾楓珠)は口は達者だが将来が不安なゆえに逃げてしまい、真剣に生きようとしなかった。このため、たまたま居酒屋で知り合った看護学生の村越美優(桜田ひより)と険悪な雰囲気に。さらに、看護実習で丈流の病気の母(西田尚美)の担当になるが、そこでも衝突してしまう。
一方、丈流は夜にバー、美優は昼にカフェでバイトをしているが、そこは同じ物件を昼と夜で別の形態にしている店だった。互いに相手の素性をしらない二人は、店の引継ぎノートに個人的なことを書いているうちに、いつしかひかれあうようになる。美優はそのことを、自分の大好きなラジオ番組に投稿した。パーソナリティのTaiju(江口洋介)は、35年前、自分も顔すらしらない文通相手の女性に恋をしたとの思い出を語りだす。
【感想】
現在の丈流と美優のパートをメインに、1989年の若き日のTaiju(窪塚愛流)と文通相手の明日香(瀧七海)のエピソードが交錯する設定。ともに爆風スランプ関連の武道館コンサートで会おうとするのが、肝といえましょう。
現代パートは丈流のいい加減な生き方に怒っているとはいえ、美優がほぼ接点のない彼にあそこまでツンケンするのが異常としかみえませんでした。考え方が違うだけで、あそこまで意地悪するというのがわかりにくい。もう少し、丈流に何か非があるエピソードでもつければいいのに。また、丈流は父(原田泰造)と疎遠な設定になっていますが、これもなんかわかりものある理由をつければいいのにとも思いました。
とはいえ、顔の見えない相手とのじれったいような恋心に揺れ動く桜田の演技は観ているこちらが切なくなります。ネットもなかった35年前なら文通相手で通じたけど、現代では引継ぎノートにするというのもなかなかのアイデア。ただ、これをみると人を好きになるきっかけというのはひょんなものだと思います。まあ、鎌倉から武道館まであれだけの短時間で移動するというのは不可能だと思いますけど、そういうツッコミどころもご愛敬か。個人的には1989年のコンサートシーンで、エキストラがきっちり当時のファッションを再現していたのがツボに入りました。
一方、35年前のエピソードと現在のエピソードをつなげるのは強引なところもありましたが、映画としては許容範囲。当時は文通ブームだったわけで、手紙のやり取りにスポットが当たると思ってたら、最後に日本郵便が特別協力とでていて笑いました。35年前では明日香の友人、今日子役の伊東蒼がさすがの演技です。この2つの時代の、実際に会っていないのに恋を募らすというプロットはなんともエモいです。
そして、何より印象深いのは、Taijuの相方のパーソナリティで、人気歌手役のasmiが歌う、「大きな玉ねぎの下で」の透明でのびやかな声。サンプラザ中野くんは劇中にもワンシーン登場するけど、彼のオリジナルの歌よりもasmi版のほうが好みで、帰り道、思わず口ずさんでしまいました。
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