作品情報 2024年日本映画 監督:内田英治 出演:三山凌輝、久保史緒里、ファン・チャンソン 上映時間124分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:イオンシネマ座間 2025年劇場鑑賞53本
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【ストーリー】
水島良城(三山凌輝)は高校時代に絵本を書いて大ヒットしたが、その後は作品をかけず、就職しても対人関係にストレスを感じて強迫性障害となり、極度の潔癖症を発症した。高校時代からの恋人の桐本月菜(久保史緒里)と同棲しているが、手に触れることもできない。
月菜は良城の祖父・正臣(酒向芳)がオーナーの絵本書店「夢の扉」で働いている。ある日、韓国人の青年、イ・ジェホン(ファン・チャンソン)が店に携帯を忘れたことから、彼がシェフを務める店に招待される。良城との関係に悩む月菜はジェホンとの距離を縮めていく。一方、良城も通院先の医師・佐倉(北村有起哉)のグループカウンセリングで知り合った、同じ潔癖症の女性、村山千春(穂志もえか)と意気投合し…
【感想】
純愛というのは子供の話。大人の恋愛は肌のふれあいどころか性交渉がなければお話にならないのが現実です。その部分をうまくオブラートにくるみながら、触りたくても触れない良城の葛藤と、触ってほしいのにもらえない月菜の焦燥をうまく描いています。ここまで極端でなくても、性の不一致は離婚の大きな原因になるわけで、同じような悩みをもつ人たちに深く共感してしまいます。
一方、ジェホンはイケメンのプレイボーイですが、今まで愛をしらずに体の関係だけでやりすてる男でした。その彼が、愛はしっているけれど体にはさわられない(さすがに高校時代から付き合っていたら、当時は触れ合ったでしょうけど)月菜に初めて、愛を感じるというのも興味深い。そして、善良だけど鈍感な良城が次々と地雷を踏みぬいて、月菜を期せずしてジェホンのほうに寄せていくというのも、なるほどなと思いつつ観ていました。
さて、原作の新堂冬樹は、登場人物が全員極悪非道の犯罪小説を手掛ける一方、あまあまの恋愛小説でも知られています。本作も終盤までは性と愛の関係、人間の愚かさ、あさはかさをしっかり描いていて、黒新堂の要素がうまくいったと思いきや、終盤はちょっと甘々の白新堂に。内田監督ならもっとえぐい作品にしてもいいのだけど、彼も「サイレントラブ」のような甘々作品を手掛けてるしなあ。
三山、2PMのファン・チャンソンの本業がミュージシャンの2人の起用というのも興味深い。まあ、久保も乃木坂だから女優というよりアイドルが本業なわけですけど。この3人とも、割と暗い雰囲気で、表情や仕草での表現をしっかりとこなしているのは見ごたえがありました。
また、韓国出身の女性脚本家イ・ナウォンによる脚本は、内田監督の夜景を多用するスタイリッシュな演出とともに、どこか邦画というよりも無国籍なアジア映画という印象を受けて好感を持ちました。クラシック調のBGMもはまっています。ラストが僕好みだったら、今年トップクラスに評価できる恋愛映画だったでしょうけど、残念です。
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