作品情報 2025年日本映画 監督:塚原あゆ子 出演:松たか子、松村北斗、吉岡里帆 上映時間124分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:イオンシネマみなとみらい 2025年劇場鑑賞56本
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【ストーリー】
硯カンナ(松たか子)は夫の駈(松村北斗)と結婚して15年。最初は愛し合った2人も生活にささくれだち、ついに離婚することになった。ところが、駈は駅で線路に落ちた赤ちゃんを助けようとして、ひかれて死んでしまう。
ショックを受けたまま、淡々と日常をこなしていたカンナだが、ある日首都高の事故に巻き込まれ、気が付くと15年前の2009年にタイムスリップ。その日はカンナと駈が出会った日だった。過去の行動を変えて、何とか未来を動かそうと必死にあがくカンナだが、過去には半日しかいられず、何度やっても駈の死ぬ未来は変わらず…
【感想】
邦画のよくあるタイムスリップしてもう一度やりなおすラブコメかと多い木や、「バタフライエフェクト」や「メッセージ」「オール・ユー・ニード・イズ・キル」といったハリウッドのSF映画を想起させるような本格的な展開でした。といって、観ている分には難しくなく、松たか子のあがき具合を楽しむ感じ。
そして、坂本脚本の大きなテーマ、愛は時とともにすり減るものということが、ここでも取り上げられています。恋愛は相手の良い所をみつけ、結婚や生活に落ち着いた恋愛は悪い所をみつけるといったことを、ドラマ、映画ともに何度も扱う坂本脚本は、今回、タイムスリップという禁じ手を使うことで、愛が時間に耐えられるかを描いていました。
15年後のカンナが過去の駈に抱いた感情は何なのか。恋愛といえるでしょうけど、通常のものとは違います。「浮気したけど過去のあなただからいいよね」と現在のシーンで駈に語り掛けるあたりは、時間と恋愛の関係について、改めてここでも取り上げていることがわかります。結末に向けてどう転ぶかわからない展開はエンタメとしても上質なもの。繰り返しだからこそ笑えるシーンも多々あります。ただ、終盤のモノローグの多さは説教臭く感じてしまいましたが。
松たか子のまじめに演技をしているのにコメディ風味を嫌味なく演じて、上品さすら感じさせてくるのは、国内の女優でも彼女しかできない持ち味。本作では過去に戻るたびにファッションが変わっていて、どのコーディネートも彼女らしさがあるというのもすごい。松と松村は18歳年の差があるにもかかわらず、現代シーンではしっかり夫婦に見えるというのも彼女の年齢不詳的な魅力であり、やはりこの座組は手堅いと思いました。
ところで、2009年の時点で、カンナがスマホを持っているのに駈が不思議がるシーンがあったし、モブはガラケーばかり使っていたけど、日本でのスマホの発売は08年なので、これは考証ミスではないのかと思ってしまいました。たった15年前の歴史も簡単に捻じ曲げられてしまいます。
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