作品情報 2024年チリ映画 監督:クリストバル・レオン、ホアキン・コシーニャ 出演:アントーニア・ギーセン、クリストバル・レオン、ホアキン・コシーニャ 上映時間71分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:シアターイメージフォーラム 2025年劇場鑑賞60本
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【ストーリー】
チリの女優で臨床心理学者でもあるアントーニア・ギーセン(本人)は、ある日、患者(フランシスコ・ビセラル・リベラ)から頭の中で声が聞こえると相談を受け、それが、20世紀のチリの思想家で外交官のミゲル・セラーノの言葉であることをしり驚く。
実はギーセンはセラーノに関する映画に出演したのだが、何者かによってフィルムが盗まれていた。監督のクリストバル・レオン、ホアキン・コシーニャ(本人)と相談して、記憶からその映画を再現しようとするが、悪夢のような出来事が次々とおきて…
【感想】
予告編をみればカオスぶりがわかりますが、人間はギーセンだけで、両方の監督は体は操り人形の骨組みのような形になっています。また、セラーノのシーンはすべてストップモーションアニメ。ほかにもギーセンの両親や、ギーセンに謎の指令を出す政治家のハイメ・グスマンも登場しますが、すべてアニメ。このヘタウマ的なアニメが癖になります。
セラーノ、グスマンは実在の人物で、セラーノはヒトラーの信奉者で、第二次大戦でヒトラーは自殺せず、南極の地下で暮らしていると信じていました。タイトルのハイパーポリア人は、その地下にいる金髪の純粋なアーリア人種のこと。また、グスマンも軍政時代の政治家で、共産党を弾圧して暗殺されています。この2人がある種悪役になっているのですけど、UFO、インターネットによる支配、陰謀論など悪夢のような世界に入っていきます。
内容は非常に抽象的で理解するのは困難というか、観た人の受け止め方によって違うでしょう。ただ、ヒトラーによって20世紀半ばの世界がひっかきまわされたように、プーチン大統領やトランプ大統領、習近平国家主席など現在の世界も政治家たちによってめちゃくちゃにされようとしています。そんな状況の中、過去のチリの軍政、ナチスの非道を糾弾するだけでなく、現代でもうっかりしていればそんな流れに巻き込まれ、加担してしまう恐怖もありました。
本編は一つのスタジオのなかで撮影され、時折舞台裏もでてきます。また、実写俳優としてはアントーニア・ギーセンのほぼ一人芝居ですが、彼女の多彩な表現能力が魅力的。軍服を着たフェチズムすら感じちゃいました。
この唯一無二の表現を文章で表すのは困難。映画マニアは必見といえましょう。本作の上映前に、チリの軍政で奪われた命をしのぶ「名前のノート」という短編があるのですが、そちらはストレートに独裁政権への静かな怒りが出ており、本作の導入としては最適。チリの歴史を知らなくても、独裁者の怖さが理解できます。
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