2025年03月14日

REQUIEM〜ある作曲家の物語

 作曲家で劇場版名探偵コナンシリーズなどを手掛ける菅野祐悟の初監督作品。ファッション、セットなどに原色を多用し、大仰な俳優の動きなど一種独特の美意識で作られているのはわかるのだけど、そこはかとない昭和テイストもあって、ちょっと珍しいものを見た感じ。

 作品情報 2024年日本映画 監督:菅野祐悟 出演:平岡祐太、桜井玲香、けいちゃん 上映時間101分 評価:★★★(五段階) 観賞場所:キノシネマみなとみらい 2025年劇場鑑賞81本



ブログ村のランキングです。よかったらポチッと押してください
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村

 【ストーリー】
 日本を代表する作曲家の城島匠(平岡祐太)は連日のように悪夢を見ていた。彼の学生時代の親友でライバルであった神野慎吾(けいちゃん)が若くして亡くなってからまもなく10年。生きている間に神野よりも良い音楽を作れなかった思いと、彼が亡くなる前に交わしたある約束の期限が迫っていたのだ。


 城島を取材した雑誌編集長の向井紗枝(桜井玲香)は、その後、美術館で城島と再会して意気投合したことから、世間から隠している彼の苦悩を知り、思いを寄せる。ところが、ある日、城島のパトロンで大手製薬メーカートップの菅原(加藤雅也)と、城島の内弟子の姫野(安井謙太郎)がとんでもないスキャンダルに巻き込まれ…。


 【感想】
 ある種観念的な物語ですが、自らも音楽界の一線で活躍する菅野監督による、音楽家像は観ていて楽しい。例えば、スランプに悩む城島は真っ裸でピアノに向かって作曲します。また、城島家は古風な洋館のようですが、赤や青の原色で彩られており、そのなかで生真面目に裸で苦悩する城島の姿は笑っていいのか悪いのかちょっと悩むほど奇妙な感じ。


 さらに、城島と神野、向井、姫野、菅原それぞれが、単なる愛情、尊敬ではおわらないような、劇画チックな関係になっているのもむずかゆい。なにしろ、菅原のあだ名が伯爵で、城島と菅原が常連となっている地下の秘密クラブが、ドラッグクイーンやボンテージのSM女王などいかにもな人がうごめいており、そのなかでチェスをさしながら高級ワインを飲むという、これまたなんとも感情の持ちにくい描写が続きます。


 平岡がピアニスト役だと「スウィングガールズ」を思い出します。最近は時折猟奇的な役も回ってきたりする彼ですが、ここでは苦悩する若きイケメン作曲家を熱演。しかし、彼も桜井も本当に大仰なセリフ、演技なのがまたいとをかし。逆に加藤くらいのベテランになると割り切ってやっているようにもみえるけど、唯一無二の雰囲気にはまる人もでるのだろうなと思わされました。安井やけいちゃんは初めて見た俳優ですけど、よく雰囲気に合っていました。


 BGMは菅野が手掛けており、タイトルにもなっているレクイエムも演奏されます。原色を多用する視覚と、さすがベテランらしい手慣れた音楽を聴く聴覚、そしてユニークな脚本、展開によりフル回転する知覚。映画は総合芸術ということを体現したかったのかもしれませんね。
posted by 映画好きパパ at 21:36 | Comment(0) | 2025年に観た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。