作品情報 2024年アメリカ映画 監督:スティーヴン・ソダーバーグ 出演:ルーシー・リュー、クリス・サリヴァン、カリーナ・リャン 上映時間84分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズららぽーと横浜 2025年劇場鑑賞85本
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【ストーリー】
郊外の住宅街の中古住宅に引っ越してきたペイン一家。レベッカ(ルーシー・リュー)、クリス(クリス・サリヴァン)の夫婦にティーンの兄タイラー(エディ・マデイ)、妹のクロエ(カリーナ・リャン)の4人家族。だが、クロエは友人2人が相次いで亡くなったため、精神にショックを受けていた。
ある日、クロエはこの家にだれかがいると言いだす。出しっぱなしの本がしまわれていたり、勝手にドアが閉まるなど不思議な出来事が相次いでいたのだ。両親は
クロエの考えすぎではないかと思っていたのだが…
【感想、ネタバレ付き】
冒頭、不動産屋が内見にきたペイン一家を案内するシーンから始まりますが、カメラは長回しで、その様子をおっかけます。続いて、業者による家のリフォーム工事がはじまりますけれど、やはり長回しで家の中を自由自在にいきます。一方で、家の外にはでません。要はカメラの視点は幽霊と一緒であり、長回しで一家の様子をみようというもの。これは非常に新鮮でした。さらに、幽霊の視点やポルターガイスト的行動から、幽霊が何を快不快に感じているか分かるというのも斬新。
幽霊だから何もしゃべらないので、何を考えているのかわかりません。ただ、ペイン一家の日常のなかで、少しずつ不穏なできごとが起きていくのを映し出していくだけ。子供2人は東洋系の俳優が演じているのですけど、レベッカはタイラーの法を可愛がり、その反動で白人俳優が演じているクリスはクロエの悩みを気に掛けます。また、タイラーはクロエがおかしなことをいうと、自分の高校での地位が低くなることを気に掛けます。幽霊騒動で、一家の間に少しずつ見えない亀裂が入っていくのです。
メインの登場人物は一家4人とタイラーのクラスメイトでクロエがあこがれるイケメンのライアン(ウェスト・マルホランド)だけ。少ない登場人物ですが、それぞれの人間関係の不穏な空気も観ているこちらをひりつかせます。また、不動産屋の義妹で霊能力があるという女性(ジュリア・フォックス)が、幽霊の存在を示唆しますが、その幽霊の正体は何かというのは、登場人物たちから示唆されるとはいえ観客の想像に任されます。その作りも渋い。何気に最新の物理学的に過去も未来も等価だとしているのならば、それはまた面白いストーリーになるけど、どうなんでしょう。
ソダ―バーグだけあって、ホラーに全振りというよりも、家族、友人関係の亀裂や麻薬、若者の性行為などアメリカの病理をホラーを使って浮かび上がらせているという感じ。一人称の幽霊よりも、人間のほうが怖いというのはホラー的ですが。ノースターのなか、ルーシー・リュウはさすがの存在感で、幽霊の真相とは別に彼女みたいなおかんがいたら怖いなと思わせる迫力がありました。
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