作品情報 2024年日本映画 監督:城定秀夫 出演:北村匠海、河合優実、窪田正孝 上映時間115分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:バルト9 2025年劇場鑑賞98本
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【ストーリー】
市役所生活福祉課の若手職員、佐々木守(北村匠海)は、先輩の宮田(伊藤万理華)から、同じ課の高野(毎熊克哉)が、若い生活保護受給者の女性を脅して、肉体関係をしているとの疑惑を一緒に調べてほしいと頼まれる。
その女性、林野愛美(河合優実)は、面会に来た高野と佐々木に疑惑を否定するものの、4歳の娘、美空(佐藤恋和)の育児放棄寸前だった。みかねた佐々木が美空と仲良くなったことで、愛美の家に出入りするようになる。ところが、高野は実際に脅迫をしていた。それを半グレのリーダー、金本(窪田正孝)に逆に脅されていた。一方、佐々木の行動も金本に知られてしまい…
【感想】
映画のキャッチコピーは「クズとワルばかり」ですが、それよりも目先の欲に左右されてしまうバカばかりだと思いました。そのため、登場人物たちはしょうもないことでつまづいてばかり。テーマからしてもっと暗いのかと思いきや、ところどころで思わず笑ってしまいました。
特に、佐々木は、一見、気弱そうだけどナチュラルに地雷を踏みまくる発言ばかりで、困窮者への上から目線を隠せないキャラ。彼が痛い目にあうほど、観ているこちらもワクワクしてしまいます。また、半グレらしい屁理屈をこねまわし、暴力もいとわない金本が、ところどころおかすボーンヘッドも魅力的。そして何より、河合の実力のすごさを実感させられる林野の色気とやさぐれぶり。育児放棄寸前だけど娘への愛情はしっかりあるというバランスの微妙さがたまりません。
生活保護については割と取材をしている印象。金本たちが生活保護を食い物にしようとしているなか、本来は受けられて当然の貧困シングルマザー古川(木南晴夏)が水際作戦で簡単にはねつけられるのとの対比がよくきいています。中盤過ぎまでじっくりと不穏な雰囲気で積み上げていき、後半にはいって一気に爆発するのはさすが、売れっ子城定監督と向井康介脚本の組み合わせ。
最初は生真面目な北村が、どんどん落ちていく様子を汚れてくるワイシャツの襟や表情で見せる演出はたまらなく好み。そして、こういう役をやらしたら天下無双の河合と、眼鏡をかけて杓子定規の正論を振りかざす伊藤万理華との対決場面は「サマーフィルムにのって」は遠くなったとしみじみ。このほか、窪田正孝、竹原ピストル、毎熊克哉、箭内夢菜ら実力者をそろえ、ちょい役に吉岡睦雄やカトウシンスケが出ているのも邦画ファンにはうれしかった。箭内はすっかりヤンキーになったのはドラマの「明日カノ」の萌のなれの果てみたいかとか、毎熊とカトウの共演は「ケンとカズ」以来かとわくわくしました。暑さがスクリーンからにじみでる演出もたまりません.
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