2025年03月28日

少年と犬

 感動押し付け要素がぎゅうぎゅうに詰まっていて、なんだかストーリーを追うだけでぐったり。西野七瀬の好演は印象的だけど、役柄のセックスワーカーの印象は「アノーラ」と比べるとあまりにも旧態依然で、悪くはないんだけどちょっとという感じ。


 作品情報 2024年日本映画 監督:瀬々敬久 出演:高橋文哉、西野七瀬、斎藤工 上映時間129分 評価:★★★(五段階) 観賞場所:川崎チネチッタ 2025年劇場鑑賞102本



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 【ストーリー】
 2013年、宮城県に住む中垣和正(高橋文哉)は、震災で仕事を失い高校時代の先輩の沼口(伊藤健太郎)の窃盗団の下働きをしていた。ある日、コンビニの前で一頭のシェパードがおなかをすかしているのを見つけて、持っていた食べ物を分ける。首輪には多聞と書かれていたその犬は和正に懐く。震災後、認知症になっていた和正の母(手塚理美)も多聞と一緒にいることで、症状が緩和されていった。だが、沼口の命令で外国人の窃盗団に協力しているときに、組織から襲われて多聞は窃盗団の少女ミゲル(嵐莉奈)に連れ去られてしまう。


 2年後、自分をだましてカネを奪い取ったヒモの晴哉(蜿r太郎)を殺害して滋賀県の山中に埋めた風俗嬢の須貝美羽(西野七瀬)は、現場で怪我をしたシェパードを見つける。かわいそうになって獣医に連れて行った美羽は、犬を「レオ」と名付けて飼う。その犬こそミゲルが殺されたことによって逃げ出した多聞だった。ある日、美羽がSNSにアップした画像を見つけた和正が訪ねてきて…


 【感想】
 馳星周が直木賞を受賞した連作を映画化。東日本大震災の被災者、認知症患者、外国人不法就労者、ヒモに搾取されるセックスワーカー、孤独な独居老人(柄本明)、震災のトラウマで自分の心を閉じてしまった少年(木村優来)と両親(斎藤工、宮内ひとみ)と、心に傷をおった人の前に多聞はフラッと現われ、心を癒してくれます。


 脚本自体は破綻していませんが、物語を詰め込みすぎ。特に、滋賀編は美羽の仕事を卑しんで差別する母(美保純)やヒモの晴哉とその仲間の木村(一ノ瀬ワタル)が、いかにも悪役という感じで登場し、話を薄っぺらくしてしまいます。また、美羽の描き方も、男に騙されてセックスワーカーに転落した女性が犯罪を犯すという、昭和のころの週刊誌のよう。かなりがっかりしました。


 動物と子役に勝てないといわれますが、それにプラスしてこれだけ泣ける題材を詰め込んだがゆえに、かえって、泣けなかったのはやはり要素が多すぎるからでしょう。1つ1つのエピソードをじっくり描いたほうが感情移入できたと思います。ただ、和正と美羽の関係がいい。最初のころはストーカーのようにSNSから特定するのがキモかったけど、後半に向けての関係の変化はびっくりです。初共演という西野と高橋の美男美女ぶりも観ていて心が落ち着きました。西野の体当たり演技は大きな見どころ。


 なお、ちょい役にも豪華キャストを揃えており、益岡徹、伊原六花、江口のりこ、眞島秀和らベテランから若手まで、短時間なのになんで起用したのという感じ。TBSの役員待遇で、数々の邦画を手掛けている平野隆がプロデューサーしている関係なのかな。
posted by 映画好きパパ at 06:11 | Comment(0) | 2025年に観た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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