作品情報 2022年カナダ映画 監督:グレアム・フォイ 出演:ジャクソン・スルイター、マルセル・T・ヒメネス、ヘイリー・ネス 上映時間117分 評価:★★★(五段階) 観賞場所:シアターイメージフォーラム 2025年劇場鑑賞161本
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【ストーリー】
カナダの田舎町。高校生のコルトン(マルセル・T・ヒメネス)はちょっと不良っぽいカイル(ジャクソン・スルイター)といつもつるんでいた。ある日、いつものようにスケボーや川遊びをしていた2人だが、線路を歩いて帰る途中カイルが列車にはねられてしまう。
同じ高校に通うホイットニー(ヘイリー・ネス)はコミュニケーションが苦手。特に男子学生と話すことが生理的に耐えられなかった。唯一の親友、ジューン(シエナ・イー)とも仲たがいしてしまう。やがてホイットニーは失踪してしまい…
【感想】
カナダではテレンス・マリックのようだと評されたようですが、独特のアンニュイな雰囲気の中、若者ゆえにあこがれる死の匂いをそこかしこにふりまきます。序盤、町を疾走するカイルとコルトンのスケボーにカメラが寄り添い、青春を謳歌するとおもわせたあとにだれもいない建設中の家をみつけ、内部を探検すると黒い猫の死骸を見つけるあたりから、2人のたわいもない青春に黒い影がさしていきます。このあたりの描写は刺さる人はささるんだろうなと思ってしまいます。
そして、川遊びや飲酒などで2人の存在感をたしかなものにしてからの喪失。コルトンはどうしようもないほど落ち込んでしまいますけど、高校時代に目の前で親友が死んだショックは計り知れないでしょう。実は明るくて万能感にあふれたようなカイルも将来への悩みや死への甘い誘惑があったというのが後から観客にはわかりますけれど、それも含めてティーンならではの心理描写をエモく描いています。
後半はホイットニーパートで、カイルともちょっとだけ縁があったような描写をいれつつも、人付き合いが苦手がゆえに孤独な少女の苦しみを淡々と描いていきます。ジューンからすれば、どんくさい彼女がイラっとくることもあったでしょう。でも、生きづらい人というのは確かにいるわけで、それゆえに孤独にどんどんなっていくのは、描写のエモさとは別に結構リアルなのではとも思ってしまいました。メイデンは処女の意味ですけど、彼女もだれかと触れ合っていればここまで孤独にならなかったのかもしれませn
とはいえ、死や孤独というのは大人にとっても大変な困難ですし、ましてや高校生にとってはいかにショックかというのはわかるのですけれど、それでも乗り越えていくのが成長というわけなので、なんとももやっとしてしまいます。主演の3人は演技未経験だったそうで、余計に本当にそこにいそうなエモさを感じさせてくれました。
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