2025年05月12日

けものがいる

 映像のみせ方も含めてなんとも意欲的で哲学的なSFミステリー。レア・セドゥの一人3役にゾクゾクときました。


 作品情報 2023年フランス、カナダ映画 監督:ベルトラン・ボネロ 出演:レア・セドゥ、ジョージ・マッケイ、グスラジ・マランダ 上映時間146分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:ヒューマントラストシネマ有楽町 2025年劇場鑑賞164本



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 【ストーリー】
 2044年、AIが世界を動かす世の中で人間も感情を取り除かないと良い仕事につけなくなっていた。ガブリエル(レア・セドゥ)は就職のために感情除去手術を受けるが、前世の2014年と1910年にそれぞれトラウマとなる出来事があり、それが障害となってうまくいかないことが判明。


 前世を思い出せる装置で過去のトラウマを探っていくと、それぞれの時代でルイ(ジョージ・マッケイ)という男性と運命的な縁があることがわかっていく…


 【感想】
 2044年、2014年、1910年の3つの時代で、前世だから同じ人物とは言え3人を使い分けるレア・セドゥとジョージ・マッケイの演技はすごいのですけれど、近未来で技術が途方もなく進歩する一方、前世があるというSF設定がまずすごい。それぞれの時代で運命的な2人が出会うというのは一歩間違えれば陳腐な設定になるのに、時代ごとにまったく違う関係になっているのも面白い。3つの時代の中では2014年の2人の関係が緊張感もあるし、単なるラブストーリーに終わらせない意欲も感じて一番好きかな。


 基本的には運命的な出会いとは何なのかから始まって、感情によって動かされる人間の生きる意味にまで通じるような哲学的な話がプロットなのですが、演出面も凝っていてそもそも映画というのはなんなのか。観客にとってどういう意味があるのかというメタ的な構造があるのも映画ファンとしてはたまりません。


 冒頭、グリーンバックの前にたたずむ女優としてのレアが演出家から、架空のナイフがあることをイメージして、恐ろしいものに襲われる感情を表してほしいとの要望をうけます。それが本編中で使われるのですが、グリーンバックの威力がここまですごいのかとあんぐり。また、クレジットロールはなくて代わりにQRコードがでて、クレジットをみたいかたはこちら、という省力的な終わり方。


 このほかも実験的な演出が多数ありました。こちらもあざとさをやや感じる一方、意欲的だなと感心してしまいます。さらに3つの時代の衣装、美術、BGMの使い分けもしっかりしており、1本の映画でこれだけのことをしているということにちょっと驚きました。


 それにしてもレアの魅力が爆発というか、過去何本も彼女の作品を観ていますけれど、とにかくゾクゾクときました。また、相手役が単なるイケメンではない(特に2014年のシーンは)マッケイを起用したのもいい。一度見ただけでは理解しにくかったので、もう一度観たくなる作品です。
posted by 映画好きパパ at 06:07 | Comment(0) | 2025年に観た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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