2025年05月17日

クィア/QUEER

 007シリーズを卒業したダニエル・クレイグが、20世紀半ばの米国人作家ウィリアム・S・バロウズ原作のゲイのラブストーリーに主演。序盤はルカ・グァダニーノ監督らしいアンニュイなラブストーリーだったのが、中盤からなんとも異様で規格外な作品へと変化していきます。


 作品情報 2024年イタリア、アメリカ映画 監督:ルカ・グァダニーノ 出演:ダニエル・クレイグ、ドリュー・スターキー、ジェイソン・シュワルツマン 上映時間137分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:シネリーブル池袋 2025年劇場鑑賞170本



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 【ストーリー】
 1950年代のメキシコシティ。米国人駐在員のリー(ダニエル・クレイグ)は退屈な日々を送っていた。ゲイの彼は夜になると酒場で若い男をナンパしに行っていたが、ある日、若くて美しいユダヤ人の男子大学生ユージン・アラートン(ドリュー・スターキー)に一目ぼれする。


 体の関係をもったものの、小悪魔的で20歳近い年下のユージンに振り回されるリー。やがて2人は中米へ一緒に旅行することになるのだが…


 【感想】
 ウィリアム・S・バロウズの自伝的小説だそうですが、全体で3部構成になっています。第1部はメキシコシティでの2人の出会い。まだ、米国では同性愛が社会的にタブーになっていたころ、最果ての地の印象のあるメキシコシティ―で2人は出会います。大都市なのに荒涼たるイメージはグァダニーノが想定したイメージなんでしょう。観ているこちらは体だけの関係が続くリーの退廃さによくマッチした美術だと刹那的になってきます。


 それがユージンとの出会いで変わっていきます。もともと、007時代の名残か腹筋が割れて肉体的に美しいダニエル・クレイグが演じていますし、リー自体中年の不機嫌なおっさんなんですが、ゲイのラブシーンになると受け身になるのがちょっと笑いました。このへんの感覚は僕は知らないのだけど、ゲイの世界だと素面では威張っているのに、ベッドでは受け身になるというのもあるのかな。また、ぼかしが突然入ったりするのにも驚きました。


 さて、このまま2時間以上続くのかと思いきや、第2部で旅に出発して話ががらりとかわってきます。そして第3部ではなんと、ジャングルに住む原住民が使っている麻薬を求めて奥地へと探検しにいき、何の話だっけ?と一瞬頭がこんがらがりそうになります。そして、実は麻薬中毒だったリーがテレパシー能力を強化する作用があるとのふれこみの現地の麻薬を探し出して服用すると、なんとも奇妙な映像がメインとなって広がっていきます。このジャングルのシーンは、本当に異質。バロウズ自身、酒と麻薬、同性愛に溺れていることで有名ですけど、スクリーンでそれが追体験できる感じ。


 だから、予告編やグァダニーノ監督の過去作からゲイのピュアなラブストーリーを期待していくと、思い切り意表をつかれます。正直後半はわけがわからなかったし、ところどころうとうとしましたけど、こういう思い切った冒険の映画はそれほど嫌いじゃないです。まあ、おっさんが体も心も若者に首ったけといういみではピュアなラブストーリーといえるかもしれませんけど。


 クレイグは大作映画メインのように思われますけれど、実はこういう芸術ぽい作品にも出演しており、本作は腹筋をのぞけば007とは真逆の受け身で疲れた中年男になり切っていました。ドリューは初めてみる俳優ですけれど、眼鏡をかけていることもあって、単純なイケメンにはみえません。リーが彼を誘うのはわかるけど、なんで若い彼が20歳以上のおっさんと肉体関係を持つのか、ちょっと不思議な気で見てました。
posted by 映画好きパパ at 18:00 | Comment(0) | 2025年に観た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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