作品情報 2024年オーストリア、ドイツ映画 監督:ヴェロニカ・フランツ、ゼヴリン・フィアラ 出演:アーニャ・プラシュク、ダーヴィド・シャイト、マリア・ホーフスタッター 上映時間121分 評価:★★★(五段階) 観賞場所:川崎チネチッタ 2025年劇場鑑賞205本
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【ストーリー】
寂れた村に嫁いだアグネス(アーニャ・プラシュク)。周囲は早く子供をと期待するが、夫のヴォルフ(ダーヴィド・シャイト)は同性愛者らしく、夜の営みをしようとしない。
口うるさい義母(マリア・ホフシュテッター)に生活や家業の漁のときの態度について嫌味をいわれ、心がおれそうになるなか、アグネスは山中で処刑された女性の遺体と処刑について書かれた絵をみつけ、なぜかそこでマリア様への歌を歌うことで心がやすらぐ。しかし、夫や義母の態度は相変わらず、アグネスはどんどん心を病んでいき…
【感想】
タイトルで悪魔の話と思いきや、超常現象は起きないけれど、人間や社会、宗教が作る闇を描いています。現代と中世では感性がだいぶ違うのでぎょっとする部分も多いのですが、信心深く、心優しいアグネスがどんどん傷ついていく様子は目も当てられません。全体的に明度を落とした画像で、暗い夜など中世の生活をリアルに描こうとしているため、余計に気がめいってきます。マリア様への美しい歌声も、かえって、心を鬱にさせます。
当時、こういった史実があったということをもとにしています。義母は口うるさいけれど当時としては当然で、自分も若いころは同じような目にあっていたわけで、連鎖が続いているわけです。また、娯楽が少ないためでしょうけど、村で処刑が行われるときはお祭りのようになっていて、罪人の血を村人たちが争って飲むという風習は知らなかっただけにぎょっとしたけど、やはり当時はこういうのがあったのでしょうね。でも、当時のことをリアルに描こうとしているだけに、特に前半は睡魔と戦っていたのも事実。後半は結構、びっくりするシーンもあって、目がさえましたけど。
ただ、この映画で取り上げている宗教的、社会的に追い詰められているからこそ犯罪を犯すということは、当時は女性が中心だったのかもしれませんが、今の日本では男性を中心に起きています。犯罪自体は絶対に良くないとはいえ、日本の弱者男性の主観的な立ち位置は中世ヨーロッパの女性と変わらんのかと思ってしまいました。
ただ、当時と違って医療は進歩しているし、アグネスのようにだれにも相談できず苦しむということも現代では対処しようと思えば何とかなるわけだし、やはり過酷な中世の女性に比べると現代人は甘いのかな。まあ、こんな閉塞的な中世ヨーロッパに生まれなくてよかったとおもうのですけど、今の日本のファンタジー小説は中世ヨーロッパ風を舞台にしたものが多いことも思い出し、やはり今の日本は甘やかされてるなと、普通の人とはまったく違うだろう感想に終わってしまいました。
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