作品情報 2025年日本映画 監督:中村義洋 出演:原菜乃華、久間田琳加、滝藤賢一 上映時間98分 評価:★★★★★(五段階) 観賞場所:川崎チネチッタ 2025年劇場鑑賞206本
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【ストーリー】
女子高生の四谷みこ(原菜乃華)は順風満帆な高校生活を送っているはずだったが、ある日突然、幽霊が見えるようになった。ユーチューブで対策を確かめたところ、幽霊は見えないふりをしてやりすごすのが一番とあり、その通り目をそらしていた。
だが、ある日、親友の百合川ハナ(久間田琳加)に幽霊が取りついているのを発見する。何とかしなければと焦るハナ。ところが、みこと同じように幽霊が見える体質の同級生二暮堂ユリア(なえなの)や、ユリアに指南する生徒会長の権藤昭生(山下幸輝)によると、この学校は昔起きた土砂崩れで多くの犠牲者が出て、幽霊がたくさん出るらしい。何とかハナについた幽霊を追っ払うことができたみこだったが、産休の荒井先生(堀田茜)の代わりにやってきた遠野先生(京本大我)にとんでもない悪霊が取りついていて…
【感想】
アニメ版は観ましたが、実写版は文化祭を中心とした学校のある時期に絞っていて、とても見やすいシナリオになっています。と思っていたら、見事なまでの伏線の張ってあるシナリオで終わった後にうならされました。中村監督は脚本も手掛けていますが、さすが、手練れといったところ。もう一回見直してもいいかもと思わされます。アニメ版もお気に入りでしたが、別のベクトルでこちらの方が気に入りました。
幽霊シーンは人物などがぼやけて青黒くなっている感じで、そのものには怖さはないのですけれど、学校内にこれだけ出ているとさすがにぞわっと来ます。でも、原演じるみこが非常にポジティブ脳筋に見えるので、最初のうちは、どうやってやりすごしたら戸惑うシーンはコミカルで、怖さはほぼありません。そもそもこの映画の幽霊との向き合い方はある意味フラットで、論語の「君子は怪力乱神を語らず」を思い出したこともあり、現実もこういうもんかと思ってしまいました。まあ、それをいったら大半のホラー映画は成り立たないので、エンタメ世界は怖いホラーもすきですけれど。幼児の幽霊は「呪怨」のオマージュっぽいし、学園祭でお化け屋敷をつくる話し合いで貞子みたいなのがいいと生徒が盛り上がったりJホラーの伝統をリスペクトしているのも良かった。
また、明るくて純粋なうえに幽霊が取りつきやすいハナ、幽霊が見える体質がゆえに幼いころから変人扱いされていた孤立していたユリアとの友情がなんとも尊い。変人イケメン枠の権藤も実写版オリジナルですけど、口先だけで何ら解決しようともしない良い性格がしっかりと味を出しています。さらに、両親(滝藤賢一、高岡早紀)と弟(川原瑛都)の家族もしっかりと描かれていて、青春映画にありがちな家族の存在を無視するのでなく、学校と家族の両方、キャラが立っているのはうまかった。特に硬軟両方の演技ができる滝藤が、ここでは娘に無視されてもめげない父親役が適任。同じ父親としておもわず応援してしまいました。こういう家族愛を青春映画に盛り込まれると弱いんですよね。
アニメに比べるとみこもハナも陽キャになっている分、深刻度は減少して見やすくなっています。ただ、遠野先生のエピソードは意外と怖くて、この緩急の差がしっかりしているところもポイントアップ。悪霊役に吉井怜というキャスティングは若いころの彼女の作品を観ていたのと闘病本を読んだ自分としてはちょっと意表を突かれた感じでした。エンドロールで流れる、人間も幽霊もみんなで踊っている映像もまた青春だなと思ってしまいます。なお僕の出身高校も男女別学の学校だったので、結構、そこに違和感を覚えている感想があるのはちょっと意外でした。
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