2025年10月05日

ザ・ザ・コルダのフェニキア計画

 ウェス・アンダーソン作品らしい豪華キャストで人を食ったようなコメディー。金儲け主義を皮肉る一方、家族の再生もテーマにしていますけど、あまりにも変化球すぎてついていくのが大変でした。


 作品情報 2025年アメリカ、ドイツ映画 監督:ウェス・アンダーソン 出演:ベニチオ・デル・トロ、ミア・スレアプレトン、ベネディクト・カンバーバッチ 上映時間102分 評価:★★★(五段階) 観賞場所:ムービル 2025年劇場鑑賞294本



 【ストーリー】
 1950年代、世界的な武器商人でヨーロッパ一の大富豪、ザ・ザ・コルダ(ベニチオ・デル・トロ)は敵対する政府や組織から常に命や財産を狙われていた。自分の資金のすべてを投じたフェニキア計画に心血を注いでいたが、乗っていた飛行機が爆破されたことから、唯一の相続にであり、今は疎遠で修道院に入っている娘のリーズル(ミア・スレアプレトン)を呼びつける。


 だが、フェニキア計画には自分の資金だけでは足りなくなり、多くの投資家の協力が必要だった。リーズル、それに昆虫学の家庭教師、ビョルン(マイケル・セラ)とともに、各地の投資家のところを回るコルダ。しかし、各地で彼の悪事が暴露され…


 【感想】
 フェニキア計画はヨーロッパの架空の国、フェニキアへの巨大インフラ投資。ヨーロッパ一の大富豪でも手持ち資金では足りないため、各地の投資家を回りますが、弟のヌバル(ベネディクト・カンバーバッチ)、いとこのヒルダ(スカーレット・ヨハンソン)、米国の大金持ちの兄弟(トム・ハンクス、ブライアン・クランストン)らは、コルダに騙されて恨んでいたり、彼の財産や命を狙っています。


 契約書を書き換えてまでカネに固執するコルダは、トランプ大統領をはじめとする今の強欲な金持ちたちの象徴のよう。傲慢で相手を見下すところもまさにぴったり。一方で、リーズルとの出会いや暗殺に遭って臨死体験をするたびに変な顔の天国の係員(ウィレム・デフォー)に擁護されるなど宗教的な体験があってか、徐々に自分の行動を変えようとしていきます。


 さらに、長年疎遠だったリーズルや、相続人ですらない9人の息子たちとの関係も変化していきます。リーズルが修道女で口では奴隷制度反対など聖人的なことを言っているのに、実はナイフを隠し持っていたり、タバコをスパスパ吸っていたりという不良っぽいところもあって、コルダの娘だとにんまり。この親子の掛け合いや、彼女に気のあるらしいビョルンの空回りなどシュールなギャグと会話をまじえつつ、無理な金儲けよりも家族の絆が大切という、演出の方法によってはとてつもなく陳腐な話を、アンダーソンワールドで煙に包まれたような感覚をもたせて進めていきます。


 1950年代が舞台ということで、レトロなファッションが素敵。建物のセットもシンメトリーで、パステル調の色合いやクラシック調のBGMが全体を彩るし、劇中の絵画がエンドロールでルノワールなど本物を借り受けていることがわかるなど、おしゃれ感は僕が見てもすごいなの一言。こういう世界が好きな人にはたまらないでしょうね。ただ、僕の場合、シュールなギャグの連発にちょっと辟易としちゃいました。
posted by 映画好きパパ at 06:58 | Comment(0) | 2025年に観た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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