2025年11月15日

ぼくらの居場所

 低所得者向けの教育センターを舞台にしたカナダ映画。洋の東西を問わず貧困や児童虐待はなくならないのだと目を覆いたくなりました。ドキュメンタリー畑出身の監督だけに、リアルに現状を映し出して、お話し的な要素は少なかったかも。


 作品情報 2021年カナダ映画 監督:シャシャ・ナカイ、リッチ・ウィリアムソン 出演:リアム・ディアス、エッセンス・フォックス、アンナ・クレア・ベイテル 上映時間138分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:横浜ムービル 2025年劇場鑑賞360本



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 【ストーリー】
 トロント郊外の町スカボロー。多様な人種が住むこの町で、低所得者の子供に簡単な勉強や食事を提供する教育センターには大勢の子供が集まっていた。フィリピン系のビン(リアム・ディアス)は父親のDVから母のエドナ(エリー・ポサダス)ともに逃げ出してきていた。小太りで東洋系の彼は学校でもいじめられていた。


 黒人の少女、シルヴィー(エミリー・フォックス)は、弟のジョニー(フェリックス・ジェダイ・イングラム・アイザック)が自閉症で、貧しいためにシェルターで暮らしている。白人の少女ローラ(アンナ・クレア・ベイテル)の両親ジェシカとコーリー(クリステン・マカロック、コナー・ケイシー)は麻薬中毒者のうえ、母のジェシカは家を出てってしまい残ったコーリーは生活能力が皆無。それでも3人は懸命に生き、教育センターの担当者ヒナ(アリヤ・カナニ)は支援しようとする。だが現実は厳しく…


 【感想】
 ビン、シルヴィー、ローラの家庭が何の説明もなく交互に映し出されているため、最初な中身を理解するのにとまどいました。いずれも実際に起きた話がモデルとなっているそうで、日本でも似たようなことは起きていそうな感じですが、人種が複雑な分、こちらが大変かな。


 まだ6〜7歳ぐらいの3人にとってつらい毎日が続く中、それでも楽しさを見つけて3人で友情を深めていく様子は見ていてほっとするとともに、大人や社会のひどさを見せつけられてイラっと悲しくなります。子供を育てることに自覚を持っていなく、変にプライドが高くて他人から差し伸べられる手をはねつけてしまう大人の姿は本当にひどい。


 人種差別もかなり残っており、ヒナもイスラム教のため「パキ」(パキスタン人を罵倒する言葉)など怒鳴られ、個々人の善意も社会の偏見や格差の前では無力だとつくづく悲しくなります。また、教育センターも役所であり予算や上司の差配によって、思うようにいかないのも現実的。上司がヒナにあまり個々人のケースに入れこまないようにと注意して、ヒナが反発するシーンがあるけれど、これは本当に難しい。客観的には上司のいうことは正論だけど、ヒナだけでなくヒナからケアを受ける子供も親身になられることは重要だし、正解がないだけに考えてしまいます。


 それでも、ヒナが字の読めないローラに教えるアルファベットがH、U、Gの順で、並べて「HUG」(ハグ)してあげるシーンにはジーンとしました。たとえどんなに厳しくても、わずかでも善意を子供たちに示さなければならないということを痛感します。日本では生活保護制度や国民皆保険制度があるから、ここよりまだましとはいえ、苦しんでいる子供は大勢いるのですから。


 子供たちは映画初出演だそうで、それだけにリアルな雰囲気を醸し出しています。単なる感動ポルノにならずに観客に考えさせるところが評価されてか、地味な題材にもかかわらず、カナダアカデミー賞(カナディアン・スクリーン・アワード)では作品、監督、主演男優賞など8部門を受賞しました。地味だし、ドキュメンタリー風で冗長に感じるかもしれませんが、一人でも多くの人に観てもらいたい作品です。
posted by 映画好きパパ at 18:00 | Comment(0) | 2025年に観た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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