2025年12月06日

サイレントナイト

 引退した老ヤクザが、無力な若者のために立ち上がるというモチーフは「港のひかり」と似ています。ただ、本作はフランスのブラックノワールと90年代Vシネマを融合させたような独特の味であり、70年代やくざ映画を再現しようとしたような「港のひかり」よりは僕にあっていました。


 作品情報 2025年日本映画 監督:藤原健一 出演:菅田俊、矢野優花、大友康平 上映時間90分 評価:★★★(五段階) 観賞場所:ユーロスペース  2025年劇場鑑賞391本 



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【ストーリー】
 女子高生の光村文香(矢野優花)は母親がおらず、記憶障害で幼いころの記憶がないが、毎年クリスマスになると届く、謎のおじさんからのプレゼントを楽しみにしていた。送り主の久能(菅田俊)は実は元ヤクザの殺し屋で文香の父、光村(永倉大輔)はその元舎弟でフロント企業の社長だった。今は北海道の小樽に山田と名前を変えて身を隠し、橋場(大友康平)の営む小さな運送屋で働いている。ある事情から毎年彼女にプレゼントを送っていたのだ。


 久能と光村が所属していた鬼塚組では組長(渡辺哲)が年老いて、組長の妻真由美(宮田早苗)の連れ子の俊也(高岡蒼佑)が後継候補だったが、組長は自分が愛人に産ませた政則(荒井敦史)を後継にしたかった。そんななか母を探していた文香がプレゼントをもとに、久能を探しに小樽へやってくる。そのことが、鬼塚組の激しい跡目争いのきっかけになると知らずに…


 【感想】
 プロットは王道なんですが、これまで数々のヤクザ役をやってきた菅田俊だけあって、はまり方が違います。普段は寡黙で心優しそうなおっさんなのに、怒りが入った途端にキルマシーンへと変化。脇も東映やVシネマでヤクザ役をやっていた人が結構そろっています。そして、自分の父がヤクザ関係者とはしらず、激しい抗争に巻き込まれていく文香と、純粋な彼女を守ろうと引退を取りやめて、再び殺し合いの場に戻る久能の渋さになんともしびれます。矢野優花の可憐な演技は印象的で、もっと売れてもいいのに。


 時折入る回想シーンがモノクロなことや、厳しい寒さがスクリーン越しで伝わる北海道のロケ地もまた、この手の映画にふさわしい。最初は回想シーンの意味がなかなかわかりませんでしたが、徐々に謎が明かされていく脚本も悪くはありません。


 また、この手の映画では悪役も重要ですが、狂犬のような俊也とわが子を跡目にするためなりふり構わない真由美、そして、組の幹部でありながら真由美と男女の仲で、組長を排除しようとする岩井(小木茂光)といずれもキャラがたっており、怒りが爆発した久能が大暴れする相手としてふさわしい悪党ぶりです。気弱な母親役の印象が強い宮田がこんないっちゃった極道のアネゴに扮するのはちょっと意外で興味深かった。


 一方で、撮影は6年前、つまりコロナ前に行われたそう。最近は韓国映画などの影響もあってリアルで痛そうなアクション映画が邦画でも増えていますし、Vシネマのオマージュなのか、銃撃戦や麻薬、HなシーンがあるにもかかわらずG指定にするためか、銃撃戦がやや古臭い。悪役が攻撃する前に長セリフをいうとか、警察が出てこないとか、撃たれても流血はしないですし、いくら撃っても弾切れになりません。もっとも、菅田が尊敬する映画として上げている、松田優作の「遊戯シリーズ」もこういうアクションだったので、そのころの映像が好きな人はうれしいかも。 
posted by 映画好きパパ at 18:00 | Comment(0) | 2025年に観た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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