2026年01月17日

愛がきこえる

 聾者の父親を懸命に支える幼い娘と、中国社会の厳しい現実を描いた社会派映画のはずなんですが、ちょっとお涙頂戴に走っているのは好みではありませんでした。むしろエンドロールで、実際の聴覚障がい者たちが頑張っている様子を伝える映像のほうが、感動しました。


 作品情報 2025年中国映画 監督:シャー・モー 出演:チャン・イーシン、リー・ルオアン、ホアン・ヤオ 上映時間111分 評価:★★★(五段階) 観賞場所:ヒューマントラストシネマ有楽町  2026年劇場鑑賞13本



ブログ村のランキングです。よかったらポチッと押してください
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村

 【ストーリー】
 耳の聞こえないシャオマー(チャン・イーシン)は7歳の娘ムームー(リー・ルオアン)を男手一つで育てている。だが、定職はなくムームーを学校に通わせられない。そこへ、元妻のシャオジン(ホアン・ヤオ)が金持ちと再婚して経済的に豊かになったことから、ムームーを自分の手で引き取りたいと言ってくる。


 シャオマーは拒否したが、家庭裁判所に提訴される。さらに、働いていたホテルで耳が聞こえないことから宿泊客とトラブルになりクビになる。困ったシャオマーは犯罪組織とつながっている手話通訳メイ(ヴィヴィアン・ティエン)に騙され、弁護士費用を払うために組織のしている自動車保険金詐欺を手伝うようにいわれ…。


 【感想】
 中国の障がい者福祉がどうなっているのかしらないのですけど、映画を見る限りではかなり劣悪な状態。手話はきちんとあるものの社会制度や住民が聴覚障がい者を理解しようとしません。例えば、小学校も日本と違って親の面接があって、ムームーは健常者にもかかわらず、聾者の父親に育てられているというだけでなかなか入学ができません。


 しかも、困った人に付け込む悪党がいるのは洋の東西変わりません。メイに騙されたシャオマーは、わざと自分が運転している車をぶつけ、保険金をだまし取ります。ヘルメットは付けとるとは言え、廃車にしなければならないため、文字通り命がけ。しかし、健常者の犯罪者たちは彼を利用するだけ利用して、わずかな金しか払いません。シャオマーが健常者であれば、あるいは日本のように福祉がしっかりしていれば、こんなバカな犯罪に手を出すことはなかったのにと悲しくなります。


 一方、聾者のコミュニティーのぬくもりは素晴らしい。またコーダという言葉が有名になった、聾者の子供の健常者であるムームーのかわいくて純真な演技が観ているこちらの心を打ちます。彼女がどれほど父親を愛しているか、お金なんか必要ないと思っているのか全身で伝える一方、父親が好きなうえに苦渋の決断をしなければならないところは、涙が出てきそうになります。客観的にみればシャオジンのところできちんと育てられる方がいいし、むしろシャオマーは元妻に結構辛辣な態度をとっているだけに、余計、何が子供のためにいいのかと考えさせられます。  

 とはいえムームーの子役演技に頼って泣かせようとするのは、個人的にはあいませんでした。むしろ、シャオマー父子を手助けする聾者コミュニティーの人々が、本職の俳優でない人も含めて聾者を起用しており、エンディングで彼ら彼女らを含めた多くの聾者が中国社会の中で懸命に幸せを求めている様子の方がジーンときました。正直、中国映画なので犯罪者が警察に勝つということはあり得ないわけですから、本筋はどうなるか想像がつきます。ただ、エンディングを見るだけでも十分価値があるといえましょう。
posted by 映画好きパパ at 18:00 | Comment(0) | 2026年に観た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。