2026年01月18日

ぼくの名前はラワン

 クルド難民の聾者の少年ラワンを4年にわたって取材したドキュメンタリー。基本的にナレーションを排して、基本的にラワンの様子を映し出しているので、大半は言葉での会話がなくて手話でのやりとり。そしてラワンの映像に両親や兄の証言を入れるなど、ちょっと独特の作りとなっています。

 作品情報 2022年イギリス映画ドキュメンタリー 監督:エドワード・ラヴレイス 上映時間90分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:シネスイッチ銀座  2026年劇場鑑賞14本



ブログ村のランキングです。よかったらポチッと押してください
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村

 【ストーリー、感想】
 イラクに住むクルド人の少年ラワンは生まれつきの聾者で周囲から迫害されていた。両親とラワンの兄はこのままでは暮らせないと亡命を決意。5歳のラワンを連れて命がけにヨーロッパに脱出し、イギリスに亡命する。そこの聾学校で始めて友達ができて喜ぶラワン。だが、イギリス政府はラワン一家の国外退去処分を決め…


 「愛がきこえる」で中国の聾者のおかれている大変な状況が描かれましたが、イラクでははるかに厳しい。ラワンは「自分以外に耳が聞こえない人がいるとは思わなかった」孤立させられ、迫害の対象となっており、ラワンの相手をしてくれるのは両親と兄だけ。それどころか生命の危機すらありました。


 転機になったのはフランスの難民キャンプで英国式の手話をならったこと。これまで、家族とすらコミュニケーションが困難で、孤独の底にいたラワンが初めて他人と会話することが可能になります。まさに、手話が彼を自由にしてくれたわけで、必死に手話を勉強する様子はほほえましいとともに、彼の生への渇望を感じさせられ、厳粛な思いになります。


 イギリスの聾学校では国籍を超えて友人ができたラワン。手話もみるみる上達していきます。ところが、そこへ政府の非情な通知。果たして一家がどうするかは映画を見てのおたのしみですが、先進国らしいなと思ったのは障がい者への配慮がきちんとしていること。聾学校の教師をはじめ大人たちがきちんと教育しているのもイラクからヨーロッパに移ったからでしょう。


 今は難民問題は世界的な課題となり、受け入れ拒否の流れが出てきています。しかし、人間はみな同じであるという考えからすると、ラワンのように文字通りイラクにとどまることが死活問題な少年まで追い立てるのは酷に思えてなりません。犯罪者はもちろんダメですが、自分の命を守りたいという異国の人を僕は応援したくなります。


 一方、ドキュメンタリーは深刻な話題を触れていますが、イギリスの豊かな自然やクラシック調のBGMを多用して、観客の心がシリアスになりすぎないようバランスをとっています。正直、最初は再現ドラマかと思うほどよくできていて、こういうドキュメンタリーもあるんだと感心しました。 
posted by 映画好きパパ at 06:06 | Comment(0) | 2026年に観た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。