2021年02月23日

幻の声 (白井久夫著、岩波新書)

 事実は小説より奇なり、という言葉の通り、原爆投下の際に本当にあった不思議な話を追求するノンフィクション。悲しく切ない話です。

 【あらすじ】
 NHKのプロデューサーだった筆者は1通の手紙を見て驚く。手紙には、原爆投下の直後、ラジオから美しく悲しげな助けを求める声が聞こえたが、そのアナウンサーは無事だったのか、という内容だった。しかし、広島放送局は爆心地のすぐそばにあり、原爆によって建物は壊滅、職員の多くが亡くなっており、放送を行うのは物理的に不可能だったのだ。

 筆者はからくも生き残った職員から話を聞き取るが、だれも放送のことを否定する。しかし、ラジオの声を聞いた証言はほかにも出てきて、中にはラジオの声で救われたという被爆者も。幻のラジオの声は果たして・・・

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2021年02月09日

1Q84(村上春樹)

 1度アップしたと思ったら、消えてました。ショック。さて、村上春樹の長編はあらかた読んでいて、嫌いではないのだけど、おしゃれであっさりしている分、あまり読後に残らない、というのが正直な印象。それよりも村上龍の方がショッキングで嫌いだけど、読後にザラザラ感があるのかな。1Q84もBOOK1は面白かったけど、次第に飽きてきて、BOOK3は正直どうよ、という感じ。でもBOOK4もあるでしょうね。

 【ストーリー】
 1984年、女性にDVを行う男性を始末する女殺し屋の青豆は、自分が今まで知っていたとは違う、月が2つある別の世界にまぎれこんでいることに気付く。彼女はその世界を 1Q84年と名付けた。

 小説家希望の予備校教師大吾は、出版社の編集者小松から、ふかえりという女子高生が新人賞に応募した「空気さなぎ」という小説をリライトするよう要請される。それは出版界では許されない行為だが、「空気さなぎ」に魅了された大吾は引き受ける。やがて、大吾と青豆は1Q84年の中で、運命的な出来事に巻き込まれていく。

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風が強く吹いている(三浦しをん)

昨年、映画を見て、基本的に面白かったけど、クライマックスに納得いかずに、そこだけ立ち読みしました。今回、じっくり読んだんだけど、原作は青春小説の白眉といっていいし、映画もうまく原作の良さを取り込んでます。それだけに、クライマックスの失敗が痛かったなあ。小説はどなたにもお薦めできます。

 【ストーリー】
 寛政大学の新入生、走(かける)は天才的なランナーだが、ある事情から陸上部のない寛政大学に入学。貧乏なため住むところも食費もなく、コンビニから万引きした。逃げる走のフォームを偶然みた、4年生の灰二は、自分が住んでいるおんぼろの寮、青竹荘につれていく。そこの寮長として多士済々な住人のメンバーをみていた灰二は、走の歓迎会でとんでもないことをぶちあげる。「青竹荘の住人で箱根駅伝に出場する」、と。


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posted by 映画好きパパ at 21:08 | Comment(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする