作品情報 2012年チリ映画 監督:パブロ・ラライン 出演:ガエル・ガルシア・ベルナル、 アルフレド・カストロ、アントニア・セヘルス 上映時間118分 評価★★★(五段階) 鑑賞場所:ヒューマントラストシネマ有楽町、鑑賞日9月12日 2014年劇場鑑賞156本目
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【ストーリー】
1988年、独裁政治をふるうチリのピノチェト政権に対して国際的な批判が高まり、政権はアリバイ的に国民投票をすることになった。当初は、反対派ですら、ピノチェトの信任(YES)で決まるとあきらめていた。不信任(NO)派の幹部、ウルティア(ルイス・ニェッコ)から、キャンペーンを負かされた広告プランナーのレネ(ガエル・ガルシア・ベルナル)は思い切った手段が必要だと考える。
反対派には1日わずか15分のテレビCM時間しか与えられなかった。そこで単に自分たちの主張を垂れ流すのではなく、イメージ戦略で、明るい未来を訴えるCMを制作したのだ。最初はYES派も余裕だったが、次第に広がるNOの輪にあせりを感じてくる。ついにレネをはじめ関係者へ脅迫が行われ…
【感想】
どんなに強大に見えた権力でも倒壊するときはあっけないというのは歴史上何度も繰り返されてきました。本作で取り上げられたチリの場合、無血で独裁者が失脚するとともに、その裏には、資本主義の発達に伴うマスメディア、コマーシャリズムの重要性が挙げられます。つまり堅苦しい主張よりも、未来をイメージさせる明るい映像のほうが重要。劇中、レネが最初にテストフィルムを仕上げたとき、「これはコーラのCMではないか」と内部でも批判を受けました。しかし、そちらのほうがはるかに受け入れられるのが商業主義でしょう。
ただ、これは諸刃の剣でもあり、イメージ優先になって物事を考えなくなってしまう危険性があるわけです。また、過度の商業主義は現在、貧富の格差を拡大しており、監督自身も公式サイトのインタビューで「(現在の格差問題の)最初の動きこそは、広告とマーケティングによって民主主義を回復したまさにそのやり方にあった」と述べてます。これはチリだけではなく、前回取り上げた韓国の「テロ・ライブ」でも一緒であり、日本でも朝日新聞誤報問題がそれにあたるかもしれません。メディアが商業化に走るあまり、真実よりもイメージをあおるわけで、ネット時代になってますますそれが先鋭化している気がします。レネとグスマンの互いをライバルに思いつつも、政治以外の仕事では手を組むという大人の関係が、広告業界の裏を表しているようで皮肉でした。
ただ、最初のレネのCMはともかく、その後、「YES」のCMを担当するようになったレネの上司、グスマン(アルフレド・カストロ)も似たような手法を使っており、なぜ、「NO」が勝ったのかが今一つ分かりにくい。もう少し、YES派の欠点みたいなのがわかればよかったのに。また、ビンテージカメラを使って当時の映像とうまく組み合わせた工夫をしていますが、ドキュメンタリタッチを狙いすぎて、少し平板な気がしました。
ガエル・ガルシア・ベルナルはさすがの実力。行動の端々から才気あふれるCMプランナーという役に説得力がありましたし、一方で、暴力に怯える普通の人の側面も良く出ていました。また、チリの俳優は全然知らないのですが、脇役の方々もそれぞれ個性ある演技で楽しめました。ただ、元妻のベロニカ(アントニア・セヘルス)との関係が今一つなじめなく、その部分は事実としても、削っちゃえばいいのになあ。


映画の出来そのものは中々よかったと思うんですが、やっぱりこの一点がストレスたまりますよね。
後半、上司が「YES」について、CM方針を一変させるのに
なぜ、差がついたのかが分からなかったです。