2021年02月12日

冬の小鳥

 父親に捨てられ、孤児院に入れられた少女の物語。でも、わざとらしいいじめとか難病とかそういうのも排して、リアリズムっぽく描いてます。それもそのはず、ウニー・ルコント監督も同様の経験をしているそう。静かに考えさせられる作品でした。

 【ストーリー】
 1975年の韓国。9歳のジニ(キム・セロン)は、大好きな父親(ソル・ギョング)に旅行に行こうと誘われ、そのまま孤児院に置き去りにされる。

 ジニは「お父さんが迎えに来ると約束した。自分は孤児ではない」と、周りにとけ込もうとしない。だが、先輩のスッキ(パク・ドヨン)と次第に仲良くなり、孤児院生活にも慣れていく。ある日、ジニとスッキは、弱々しく倒れている小鳥を見つけた。親鳥がいない小鳥に自分たちの境遇を重ね合わせた2人は小鳥の世話をすることを決めた。





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 【感想】
 丁寧にジニの心情を描いている美しい作品です。冒頭、父親と楽しそうに遊ぶジニ。だが、父親の顔はでてこない。父がこぐ自転車の荷台に乗ったときに触った、温かかった背中のぬくもりしか、彼女は覚えていないのだ。捨てられたショックなのか、それとも捨てられてから時間がたちすぎて忘れてしまったのか。父親の前でうれしそうにとびはねたり、安心しきったように父の背中にもられるジニの幸せそうな姿は演技とは思えないナチュラルさ。

 そんな幸せな彼女が父を信じ切り、孤児院にとけ込めないという気持ちは痛いほど伝わってくる。教会で神父が「エリエリレマサバクタニ」(キリストが磔にあったとき、父よなぜ私をすてたのですかというヘブライ語)と説明しているときに、幸せそうな親子を見つめる彼女はどんな思いだったのだろう。さらに、この映画は父親をはじめ、彼女と約束した人は、なぜかそれを守らない。幼い少女にとって、そうしたことの積み重ねがどんなにダメージを受けるか、見ているこちらも哀しくなる。

 なんと言ってもキム・セロンの繊細な表情が素晴らしい。笑顔、泣き顔、怒った顔、そしてあきらめの表情。わずか9歳の少女がこれほどナチュラルに、感情を使い切れるというのはまさに天才子役といっていいほど。イ・チャンドンがプロデュースしているので出演していると思われる、韓国の名優ソル・ギョングが、わずかな出番ながら存在感を示しているのもさすが。また、孤児のリーダー、イェシン役のコ・アソンはどこかで見たと思ったら、「グエムル」で怪物に捕まってしまった少女ですね。このへんの名優が脇にいるのも映画に深みを与えている。

 親と子の絆って何なのだろう。上映中、ずっと考えていました。これは30年以上前の韓国の物語だけど、今も日本で同じような目に遭っている子供たちがたくさんいます。毎日新聞で帰れない赤ちゃんという連載をしていますhttp://mainichi.jp/life/edu/child/... これを読んでいた僕は、今まさに身の回りで同じようなことが起きているのに、何もすることができない自分がはがゆくてなりません。せめて、自分の娘をしっかりと育てることでしょうか。映画とあわせて多くの人に考えてもらいたい問題です。採点は8(岩波ホール)
posted by 映画好きパパ at 22:04 | Comment(0) | 2010年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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