2024年02月04日

サン・セバスチャンへ、ようこそ

 ウディ・アレンの日本での新作で、内容はどうってことないラブコメですが映画愛のつまった作品。スピルバーグの「フェイブルマンズ」やタランティーノの「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」など、大御所のこういう作品が目立つのはなんででしょうかね。


作品情報 2020年スペイン、アメリカ、イタリア映画 監督:ウディ・アレン 出演:ウォーレス・ショーン、エレナ・アナヤ、ジーナ・ガーション 上映時間92分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:イオンシネマ座間  2024年劇場鑑賞36本




ブログ村のランキングです。よかったらポチッと押してください
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村

 【ストーリー】
 大学で映画学を教えている、売れない作家のモート(ウォーレス・ショーン)は、映画の広報をしている妻のスー(ジーナ・ガ―ション)とともに、スペインのサン・セバスチャン映画祭へやってきた。スーが若手監督のフィリップ(ルイ・ガレル)と浮気をしているのではないかと疑っていたのだ。


 スーはフィリップとともに新作映画の広報に忙しく、モートは暇と嫉妬をもてあます。胸が痛くなった彼は病気を疑って地元の診療所へ。そこの美しい女医のジョー(エレナ・アナヤ)に恋をしてしまう


 【感想】
 フェリーニ、ゴダール、オーソン・ウェルズといった過去の巨匠のオマージュで、モートは夢や妄想で自分が「市民ケーン」「勝手にしやがれ」などの名画の中に入り込んだ再現シーンが現れます。僕はクラシック映画は弱いので半分ぐらいしか分からなかったけれど、それでも各監督の特徴あるカット割りやセリフをおりまぜており、クラシック映画ファンならたまらなかったでしょう。


 ただ、本編はなかなかしんどい。アレン映画の常連であるウォーレス・ショーンは80歳で(外見は60代で通用しそうだが)、ちび、はげ、デブの3重苦。にもかかわらず、自分の子供ぐらい若い美人女医をくどきまくり、ものにしようというのは、実際のアレンの投影のよう。スキャンダルまみれで本作の公開も遅れましたが、老人にも関わらず若い女性に執着し、しかも、映画やニューヨークの知識をひけらかしてものにしようというのは、傍からみればなんとも醜いけど、アレンの欲望を反映しているのだろうなと半ば呆れてしまいます。だいたい80歳にもなって自分探しはないだろうと。


 前作の「レイニー・イン・ニューヨーク」でもティモシー・シャラメがアレンの投影といわれましたが、若手俳優が演じているからラブコメでもお洒落に感じて楽しめました。しかし、80歳の俳優が40代の女優をくどきまくるのは、コメディというよりも哀れさを感じます。これは60代のジーナ・ガ―ションが30代だったルイ・ガレルといちゃいちゃする場面もそう。まあ、アレンは老いても盛んで映画が大好きという自分の夢をアピールしたかったのでしょう。社会派映画やハリウッドへの批判と、ヨーロッパ映画礼賛をひたすら言っていましたし。小津ではなくて黒澤映画がスノッブと思われているのには笑いましたが。


 極めつけはラストの死神(クリストフ・ヴァルツ)とのチェス対決。ベルイマンの「第七の封印」のオマージュですが、死神はなぜかモートに健康に気を付けるように注意しまくる。老いたアレンの自戒なのでしょうね。ここまで臆面もなく映画と若い女性への自分の欲望、好きなものだけを映画にするというのは、もはや失うものがなくハリウッドの無敵の人になってしまったアレンだからできることかもしれません。本作のあとにも新作「Coup de chance」を撮影していますが、日本公開はいつになるのでしょうか。
posted by 映画好きパパ at 06:14 | Comment(0) | 2024年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。