作品情報 2023年フランス映画 監督:アンヌ・フォンテーヌ 出演:ラファエル・ペルソナ、ドリヤ・ティリエ、ジャンヌ・バリバール 上映時間121分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:キノシネマみなとみらい 2024年劇場鑑賞291本
ブログ村のランキングです。よかったらポチッと押してください
にほんブログ村
【ストーリー】
1928年、スランプに悩むラベル(ラファエル・ペルソナ)は旧知のダンサー、イダ・ルビンシュタイン(ジャンヌ・バリバール)から新作バレエの作曲を依頼される。なかなか書けないなか、若かりし頃から今までを思い返していた。
早くから才気あふれていたラベルだが、既成の音楽家からは敵視され権威あるローマ賞は予選落ちとなり、音楽界で大問題になる。私生活では親友シパ(ヴァンサン・ペレーズ)の姉で不幸な結婚を続けるミシア(ドリヤ・ティリエ)への思いを断ち切ることができなかった。さらに第一次大戦に従軍した際のトラウマ、最愛の母(アン・アルパロ)の死などを乗り越え、作曲活動を続けてきたのだが…。
【感想】
クラシックからジャズ、ラップ、はたまたアフリカの民族音楽までありとあらゆるバージョンのボレロで始まるオープニングは、背筋がぞくぞくっとくるほど素晴らしかったのですが、そのあとはボレロの生涯を丹念かつ平板になぞっていく感じ。鑑賞後にフランス版のウィキペディアでボレロの略歴を確認しましたが、それがないと登場人物の説明も少ないし、何がなんだかわからない場面が多いといえます。
音楽の天才ですが、ジャズとの融合を図りクラシック界の異端児だったラベル。既存の権威からは無視され、自分が年を取ってからは若手作曲家たちから古臭いと言われます。一方、私生活ではミシアや弟子のマルグリット(エマニュエル・ドゥヴォス)、イダなど仲の良い女性はいるものの、恋愛までに踏み込めず。売春宿でHなことをせずに話したり音楽を聞かせたりだけといういびつな生活を続けます。
ラベルほどの著名人なのに第一次大戦では最前線で負傷者を輸送する危険な任務に従事するなど、精神的なダメージは蓄積され、ボレロで世界的な成功を収めたにもかかわらず、晩年は病気に苦しみ、頭の中に新曲が次々に生まれているのに、書けないという悲劇的な状況に見舞われます。天才だから幸せでもないというのはなんとも切ない。それでもボレロという名曲を後世に残せただけでも、僕らは感謝しないといけないのかもしれません。
そのボレロですが、初演時にはイダのセクシーなダンスに激怒したエピソードも描かれていますし、成功した後もボレロだけの作曲家とみなされる不安も漏らしています。ある意味、作者の手を離れて作品が世界中に広がったというのも、作者本人からすると必ずしも幸福ではなかったのかもしれません。
ボレロの演奏シーンをはじめ、音楽パートは満喫できます。当時のファッションや上流社会の社交、売春宿の様子など時代背景も堪能できます。それだけに、鑑賞するのならば事前にラベルの知識を入れていくことをお勧めします。ペルソナがとにかく渋い中年で、タバコを吸ったり、ピアノを弾く姿も非常に様になります。
【2024年に見た映画の最新記事】

