2025年08月08日

スタントマン 武替道

 香港映画を支えたスタントマンへの思いがこもった映画を描いた映画。冒頭の出演者からの日本上映に向けた挨拶が、中国人からも「スラムダンク」の聖地として人気の鎌倉高校付近だったのでなんか親近感をもてました。


 作品情報 2024年香港映画 監督:アルバート・レオン、ハーバート・レオン 出演:トン・ワイ、テレンス・ラウ、フィリップ・ン 上映時間114分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:チネチッタ 2025年劇場鑑賞271本



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 【ストーリー】
 かつて香港で伝説のスタントマン・アクション監督だったサム(トン・ワイ)は、自分にも他人にも厳しい人物だった。そのため、撮影中に事故を起こしてしまい責任を取って引退。今は小さな整骨院を開いている。


 そんな彼に、往年の盟友で老監督のチュー(ドゥ・ヤン・ソン)から自分の引退作でアクション監督をやってほしいと打診する。主演はかつてサムの弟子で今は人気スターとなっているリョン(フィリップ・ン)だが、彼はサムの厳しさを知っているだけにあまりいい顔をしない。若手のスタントマンを連れてくるようにいわれたサムは、偶然知り合った若者で、映画では食えないために運送屋をしようとしているロン(テレンス・ラウ)の才能を見抜き、彼を最後の弟子にするのだが…


 【感想】
 香港のスタントマンのドキュメンタリー「カンフースタントマン」での証言にもあったのですが、1970年代〜80年代の香港映画でスタントマンは「ノートいってはいけない」ということを言ってはいけなかったそうです。そのため、数々の迫力あるシーンが今でも残っている一方、撮影中の死亡、重傷事故も起こりました。


 アクション監督だったサムは危険なスタントを要求して、現場で事故をおこしたゆえに業界をさります。それから久々に戻ってきた彼が困惑したのは、安全第一、残業はせず、コンプライアンスを守ろうという現場でした。現在では当たり前のことですが、こんなんで面白い映画が撮影できるのかとサムは怒りまくります。正直、サムのスタントも、サムが生ぬるいと怒るリョンのスタントも区別がわからないのですが、普段は温厚なサムがアクションシーンの撮影になると人が変わったみたいに怒鳴りまくるというのは、映画業界あるあるなんでしょうね。一方で、ここまで映画が人命まで含めた何もかにも優先していた時代はいいのかと、自問自答するようなカットもはさまれており、単に衰退していく香港映画へのオマージュだけでないのがいい。


 サムと若い世代の考えの違い、そして若い世代だけどサムを師匠と慕うロンの気持ちと、どれが正解と言えないだけに複雑な思いで見ていました。また、味付けとしてサムの娘で結婚を間近に控えながら仕事ばかりの父に複雑な思いを持っているチェリー(セシリア・チョイ)のエピソードが挟まります。正直、ストーリーは予告から予想できる範囲なのですけど、やはり、スタントというのはこんなふうに熱い現場でできているのかと、裏側を知られたのが収穫でした。往年の香港映画ファンにはたまらない、熱くてほろっとくる秀作です。


 トン・ワイは香港電影金像奨最優秀アクション設計賞を7度受賞した伝説のスタントマンであり、重みが違います。一方で、テレンス・ラウとフィリップ・ンは日本でもスマッシュヒットした「トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦」で活躍した若手・中堅の実力者。各世代の考えの違いも、一線級のアクション俳優の起用で納得できます。


 また、数々の香港映画の名シーンのオマージュのような、劇中劇のアクションもみごと。実際にもこんなに痛そうなのかと言うのは驚きました。エンドロールが始まると、香港映画おなじみの撮影中のNGシーンなどが流れますが、その後に、本作の真のエンディングがはじまるので、最後までお見逃しなく。
posted by 映画好きパパ at 06:14 | Comment(0) | 2025年に観た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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