2026年03月07日

夜鶯 ある洋館での殺人事件

 第2次大戦直後の上海を舞台に洋館での密室殺人を映画関係者が推理する仰天のミステリー。最初はコメディタッチですがクライマックスではしっかり切なく、どんでん返しもあって、中国で大ヒットしたのもわかるかな。映画に対する信頼が感じられたのは良かった。


 作品情報 2021年中国映画 監督:リウ・シュンズーモー 出演:イン・ジョン、ドン・ジアジア、ユー・エンタイ 上映時間 123分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:ヒューマントラストシネマ渋谷  2026年劇場鑑賞87本



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 【ストーリー】
 1940年代の上海。政府批判をして仕事を干されていた脚本家の李家輝(イン・ジョン)は大物プロデューサーの陸子野(チェン・ミンハオ)に次の映画の企画会議をしたいと豪邸に招待される。そこには映画監督の鄭千里(ユー・エンタイ)、女優の蘇夢蝶(ドン・ジアジア)ら5人の映画関係者が招待されていた。


 陸は数カ月前に上海を騒がせた、大物経済人3人が密室で殺害された三老事件を映画化したいと持ちかける。なんと、豪邸は実際に殺人が起きた洋館だったのだ。しかも、会議には現場で現行犯逮捕されて死刑判決を受けた斉楽山(ジャン・ベンユー)と彼を逮捕した警官、大海(チン・シアオシエン)がアドバイザーとして参加。天才的な推理力を持つ李は、一見単純そうに見える事件の裏に、とんでもない秘密が隠されていることに気づき…


 【感想】
 全体の3分の2ぐらいは映画関係者による会議シーン。いくら何でも死刑囚が企画会議に参加するというのは強引ですが、終戦まもなく混乱している世の中なのでありなのかな。斉の発言に矛盾は多いうえ、気弱な大海を含めて腕っぷしでは他のメンバーを圧倒しているため、会議は何が起きるかわからないようになっていきます。

 李が政府批判で干されたように、鄭はコケてばかりで監督の座も危うく、蘇もかつてはトップ女優でしたが世代交代の波で落ち目、陸も借金があり映画が大成功しなければ破産してしまう。アメリカ帰りのアクション俳優、陳小達(コー・ダー)は本当に武術ができるか微妙なへっぽこなど、個性豊かでがけっぷちの面々が、どうすれば映画をヒットするか口論、ときにはつかみ合いに至る感じは三谷幸喜の劇を観ているようで笑えます。大海の失敗シーンが、その前に観た「教場  Requiem」で警官の絶対してはいけない失敗と同じだったのは、思わず吹き出しました。

 李はいかにも切れ者という感じの探偵役ですが、犯人の斉の不気味な演技が物語を引っ張ります。彼は本当に犯人なのかそれとも何か秘密を隠しているのか。会話だけでは飽きないようにするためか、変な現場検証を含めてドタバタするうちに、いつの間にか話はシリアスモードに突入します。このドタバタから切ないシリアスにというのは、「唐人街探偵2」「長安のライチ」など中国の大ヒットエンタメの特徴なのかな。そのうえ、本作ではミステリー映画の名作を彷彿とさせるどんでん返しもあって、最後までどう転ぶかわからず楽しめました。エピローグで新聞の号外を少年が叫んでいるけれど、それはそういうことなんでしょうね。

 ベテラン俳優、関静年役のヤン・ハオユーが「宇宙探索編集部」の主役だったほかは、他の俳優陣ははじめしてなんですけど、本国では人気がある人たちをそろえたみたい。前半の会話や回想、妄想シーンだけで場を持たせるのはすごかった。また、国民党時代の上海なので、今の中国映画と違って貧困・格差や腐敗した政府批判、報道の自由といったことを訴えられるのも興味深い。クラシックなファッションや美術も見ごたえがありました。
posted by 映画好きパパ at 06:43 | Comment(0) | 2026年に観た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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