2026年04月05日

ギョンアの娘

 リベンジポルノに巻き込まれた若い女性の物語。「そして彼女たちは」に続いてみたので、精神が折れそうになりましたし、くそな男はみんな不幸になれと、おっさんなのに思ってしまいました。

 作品情報 2022年韓国映画 監督キム・ジョンウン 出演:キム・ジョンヨン、ハ・ユンギョン、パク・ヘジン 上映時間119分 評価:★★★★★(五段階) 観賞場所:シネスイッチ銀座  2026年劇場鑑賞130本



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 【ストーリー】
 郊外の団地に一人暮らしするギョンア(キム・ジョンヨン)は都会で高校教師をしている一人娘のヨンス(ハ・ユンギョン)が自慢だった。母子の仲はよく、仕事に忙しい娘は恋人も作る暇もなく頑張っていると信じていた。

 だが、ある日1通のメールが来た。添付ファイルを開けるとヨンスが男(キム・ウギョム)と性的なことをしているもの。元カレのサンヒョンが振られた腹いせにリベンジポルノを仕掛け、ヨンスの母、友人などにばらまいたのだ。さらにネットにもさらされショックを受けたヨンスは学校を休職する。そんな彼女にギョンアは思わず厳しいことを言ってしまい…

 【感想】
 ちょうど、池袋でストーカーの男が女性を刺し殺すという事件があった翌日に観ました。男の暴力性、ゆがんだ愛情がどれだけ女性を苦しめるのか。リアルで悲惨な事件があっただけに、本作でヨンスがどんどん追い詰められていく様子をみると、観ているこちらの心もどんどんえぐられていきます。

 しかも、「そして彼女たちは」のエピソードにもでてきそうですが、ヨンスが一番弱って助けを求めたのに、母親は世間体や常識を考えて厳しいことを言ってしまう。ヨンスの母であるまえに、自分自身の保身を考えてしまう。ギョンアは若いころ夫からDVを受けたこともあり、ある種、娘に依存しています。しかし、一番大切な時に切り捨ててしまおうとする。あまりの残酷さに思わず絶句してしまいました。

 ただ、本作はリベンジポルノの悲惨さを描くだけでありません。ヨンスは物怖じしない女子高生のハナ(パク・ヘジン)との交流を通じて、自分が教師の仕事を転職としたことを思い出します。また、ギョンアも落ち着いたら自分がいかにひどいことをいったのか気づき、反省します。

 それでも、一度いったひどい言葉は取り消すことができません。もちろん、デジタルタトゥーと呼ばれるようなネット上のコンテンツも取り消すことができないわけですけれど、リアルのひどい言葉、態度も取り消すことができない。そのことがわからない人が世の中にどれだけ多いのか。もしかすると僕自身もだれかを傷つけているのかもしれないと思うと、心底ぞっとします。

 これまた「そして彼女たちは」同様、孤立してどん底に陥った女性を助けるのは、女性同士の連帯です。ハナは恩師がそんなひどい目にあっているかは知らないですけれど、ヨンスの様子が変なことを気に掛けます。また、ギョンアは自分の失敗をつぐなうべく、今度こそは彼女を支えようと奔走します。人間がひどく愚かなだけでなく、温かみや反省も考えていることも実感させられます。

 これまで名わき役として知られたキム・ジョンヨンは初主演作。ギョンアという役柄は非常に難しかったでしょうが、誠実に勤めています。ハ・ユンギョンも韓国映画に出てくるモデルのような美人と違い、素朴で真面目そうな雰囲気をよく出しています。それがたった一人のクソ男とであっただけに人生が暗転してしまうとは、ネット社会の恐ろしさもよくわかりました。
posted by 映画好きパパ at 06:45 | Comment(0) | 2026年に観た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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