2026年04月08日

90メートル

 ヤングケアラーの問題を真正面から取り上げたまじめな作品。そのスタンスは崩さないのに、演出がちょっとひねってあって一瞬驚きました。

 作品情報 2026年日本映画 監督:中川駿 出演:山時聡真、菅野美穂、南琴奈 上映時間116分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:新宿ピカデリー  2026年劇場鑑賞134本



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 【ストーリー】
 高校3年生の藤村佑(山時聡真)はバスケット部のエースだったが、シングルマザーの母・美咲(菅野美穂)が難病のALSになって寝たきりになり、部活を辞めて学校が終わると自宅に直帰して介護にあたっていた。夜中に容態が急変することもあり勉強もろくにできず、大学進学はあきらめていた。また、友人にも自分が介護をしていることをいえず、学校でも孤立していた。

 だが、ケアマネージャーの下村(西野七瀬)の尽力で24時間体制でヘルパーがついてくれることになった。また、介護の体験を東京の大学の推薦入試でいかせればと担任(朝井大智)からアドバイスされて、参加した推薦入試の説明会で、バスケ部のマネージャーの松田杏花(南琴奈)に再会。固まった心が徐々にほぐれていく。だが、母へ上京して進学したいとはいいだせずに…

 【感想】
 佑も美咲も相手のことを思いやっているのに、病気のせいでついイライラして感情がいきちがってしまう。僕も母の介護を何年もしていたので、この2人のすれ違いと愛情が痛いほど伝わってきました。僕は結局、最後まで母に感謝の気持ちを伝えられなかったことをいまだに後悔しています。介護はいつどうやって終わるかわからないから本当に大変。中年になっても親子の関係は難しいのに、まして高校生にとっては非常に困難な毎日だったでしょう。

 美咲がカレーの具材が大きくて食べにくいと、気を使いながらいうのに対して、つい佑は声を荒げてしまいます。もちろん、そのことはわかっているけれど、同時に部活、恋、遊びと友達が毎日楽しそうで、自分も先日まではそうだったのに、何もかもすてて介護しなければならない苛立ちが気持ちの余裕を奪ってしまいます。一方、美咲にとっては大事な息子の人生を、自分の病気で阻害していることが、苦しくてたまらない。本当に介護の現場ってしんどかった。見ていて非常にリアルだし、胸が苦しくなりました。中川監督も親の介護体験があるそうで、だからリアルなんですね。

 ただ、佑の場合、杏花のような美人の同級生からも気遣ってもらえるし、下村も24時間体制のヘルパーを見つけてくれるなどじつは優秀。バスケ部時代のライバルの大平翔太(田中偉登)も嫌な奴かと思ったら、親友思いのいいやつ。役名はでなかったけど、担任や他のヘルパーもみんな気にしてくれます。周りに恵まれているのはうらやましい限りでした。高校生だからこそ自分の苦しみを声に出せないのだけど、周囲に恵まれているのはフィクションだから、高校生だからその両方でうらやましい限りです。

 脚本が丁寧な一方、演出ではあれ?と思わせる手法をぶっこんでくるのでなかなかあなどれませんでした。こうしたなか山時の等身大の高校生の演技が本当に心に染み入ります。苛立ちと愛情が同時に起こって困惑した感情を仕草、表情でみせる場面も多く、菅野と堂々わたりあっていました。また、南は「夜勤事件」「終点のあの子」と立て続けに出演作が公開されていますが、作品ごとに表情が違うのがすごい。今後が楽しみな若手女優です。 
posted by 映画好きパパ at 06:00 | Comment(0) | 2026年に観た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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